理学療法士の訪問看護ステーションの立ち上げ
訪問看護ステーションの立ち上げですが、おそらく1番初めにぶつかる壁は「看護師の人員基準」だと思います。
自分で立ち上げようと思うぐらいです、理学療法士や作業療法士の知識、技術レベルや、人脈には自信があるでしょう。
しかし看護師に関するものはそうはいかないのが現実ではないですか。
ではこの点を中心に考えていきます。
ここで最もしてはいけないのが「看護師を単なる人員基準」「頭数」と考える判断です。
「収入は基本リハビリテーション部門でまかなう」「だから看護部門はお飾り程度で十分だ」といった考え方です。
一見最短で最もやりやすい方法のようですが、この判断が最も危険です。なぜ危険なのか。
まず保険事業としての観点から話します。
介護保険での事業という事で、ルールに左右され事業です。
特に訪問看護ステーションからの理学療法士等の訪問は、本流では有りません。
そのため、ここだけで、今後事業を継続させる計画を考えることは、非常にリスクが高くなります。
しかし私が強く主張したいのは、次の理由です。
看護師との連携を軽視したサービスは、いずれ行き詰るという事です。
「理学療法士や作業療法士の知識だけでも何の問題もない」そう思っている人が立ち上げるのをよく見かけます。
大きなおごりです。
私達が病院で見ている看護師の姿は、ごく一部に過ぎません。
患者さんの姿にしても同様です。
私達だけで完結出来ると思い込めているのは、それだけ病院という施設が、私達を無言で支え、私達の前に安全に患者さんを運んできてくれているからに他なりません。
残念ながら、在宅に出ても多くのセラピストはそれに気付きません。
しかしそれが患者さん、利用者さんに多くの不利益をもたらしています。
短期的なお金儲けや、過剰な自信からくる自己顕示欲での起業は、こういったところでその本性が現れます。
自分の事業を守るためにも、自分の業界を守るためにも、勘違いと焦りで間違った道を進まないでください。
余談ですが、訪問看護ステーションなどに転職する場合でも同様です。
リハビリ部門が特化している所の方が、働きやすいように感じるかもしれませんが、長期的な視野に立てば、看護部門を軽んじている所での業務は、大きなものを得る機会を失います。
本当にリハビリテーションを大切に考えている所は、看護を軽視することは無いので底を見極めて下さい。