退院後の選択~誰が何を基準に決定するのか~
独り暮らしの祖母が脳梗塞で入院した。幸いにも搬送が早く、症状は軽くて済んだ。
とはいえ、もう90手前の祖母。2週間が経過し、回復期への転院の話が出ているが、その後は『自宅退院』という名目ではありつつも『施設』の影がちらついている。
ふと、祖母の自宅で過ごした記憶がよみがえり、今、あの家には誰も住んでおらず静まり返っているのだという現実が胸を締め付けた。
このままあの家は、祖母の帰りを待ち続け、二度と祖母を受けいれることなく過ぎていってしまうのか。
難聴と軽い認知症をもつ祖母が、再び独りで生活するのは、やはり難しいのか。
何よりも『施設』前提なのが、悲しい。
施設が悪いと言っているのでは決してなくて、自宅が大好きな祖母に『自宅』の選択肢が極めて少ないという現実が悲しい。
こんなにたくさんの医療・介護サービスが存在するのに。。。
自分自身が、医療・介護サービスに携わる人間なのに。。。
自宅復帰の可能性はゼロパーセントなのか?
自宅復帰を第一として考えた上で、弊害要素を各種サービスで解消できないのか。
祖母を今一度、自宅に帰してやれないのか。懐かしのあの空間で、祖母と一緒に過ごすことはできないのか。悲しい。
何が一番の弊害か。
現実的に考えた時に、やはり夜間のケアが大問題となる。
日中は、家族や近所の人、各種サービスの利用で過ごすことができたとして、夜間はとても難しい。
家族が泊まり込むのか?毎日?いつまで続けるのか?それで祖母の安全はしっかりと守れるのか?
そして何より、離れて暮らす自分が、簡単に口出しだけしてよいものか?
利用者との関わりの中でも、よく遭遇する。
普段、遠方にいて関わりが少ないにも関わらず、普段の環境をよく知りもしないで、普段のマンパワーを十分理解もしないで、理想論をぶつけてくる若い家族。
気持ちはわかる。心配で心配で、口を挟まずにはいられないのだ。
今、まさに自分自身がそれになってしまっていないか?
自分の頭の中に、さまざまなプランが浮かんできて、祖母にとって何が正しいか分からない。
だから、もどかしくて仕方がない。助言はできる。でも、マンパワーにはさほどなれない。
簡単には決められない。主軸となる母と、たくさん話して、祖母と母が一番納得できる道を選ぼう。
そこに自分も最大限の力添えをしていこう。
きっと、利用者の家族も類似のたくさんの選択を迫られた結果の今がある。
そこに対して、第三者の我々は、発言に細心の注意を払うとともに、本当に本当にリアルに、利用者と家族の生活をイメージして関わっていかなければならない。