様々な環境で経験を積むことが成長につながるという呪い

 

 

学生時代によく考えませんでしたか。まずはじめの3年ぐらいは○○期のようなところで経験を積んで、その後××期や×●分野の病院で数年経験を積んで、そのあと・・・・。

 

これは本当に正しいのでしょうか。私達理学療法士や作業療法士は、知らない間に、転職を繰り返し、様々な分野で経験を積まないと「一人前」になれないと思わされています。

 

これは先輩、先人からかけ続けられている「呪い」です。この「呪い」に知らず知らずにに縛られて、私達は理学療法士としての歩みを何も考えずに進めさせられます。

 

その結果様々な問題、不利益が起こっていることに気付きもしていません。

 

その最たるものが、まずは回復期で経験を積んで3年程度で転職するプランです。

 

まず患者にとって重要な「回復期」は「新人の経験値を稼ぐ場」になり、病院も採用に困らないので、数名の指導者を除けば、人件費の安い若手で固めようとします。中堅以降の昇給を抑えている病院も少なくありません。患者からすればクソ迷惑な話です。誰でも感じていますよね。1年目の自分がいかに未熟な存在で、不十分な対応しかできなかったかを。私達自身がこの環境を作っています。少し経験をすれば次に移ることが正しいと信じている呪われた私達自身が。患者さんは最大の回復をすることが出来ません。私達ももっとも大切と種痘した時期に、期待された結果が出せていません。結果評価はしっかり下がっています。

 

この間違った思い込み「呪い」が、回復期に新人が押し寄せる状況を作り、私達自身の不利益を招いています。100人を超える理学療法士に数名の中堅理学療法士とわずかなベテラン理学療法士。正直こんな体制で「勉強になる環境」が作れるはずがありません。コーチングやマネジメントを少しでも学べば誰でもわかります。私達自身が知っていますよね、3年程度の経験で複数の新人をフォローすることがいかに困難で無茶な事かを。結果として大した知識も技術もないまま、自然回復したのを実力と勘違いした使えない理学療法士や作業療法士を大量に作ります。この人達が転職先で大変な目に合う事になっています。

 

異なる環境で、経験を積まなければ一人前になれない。そんなことを言っている業界は少ないですよ。あなたは脳外で20年経験を積んだ医師と、全ての科を3年ずつ経験してきた医師と、脳腫瘍になった場合どちらを頼りますか。もう明白ですよね。

 

私達の業界も成熟してきています。成熟した業界で必要なのは、なんでもそれなりに出来る人ではないです。スペシャリストです。離島や過疎地区のように人材が不足している場所ではゼネラリストが求められます。以前は理学療法士や作業療法士は、日本中がこの状況だったはずです。だからゼネラリストが必要でした。しかし今はほとんどの地域でこんな状況ではないはずです。状況が30年程度の期間で劇的に変わったために、常識が非常識になったにも関わらず、慣習として、ほぼ言い伝えのレベルで残っているのが今の「呪い」です。

 

いつまでも数十年前の常識だった、たくさんの場所で経験を積むことが成長につながるという「呪い」から、いい加減解き放たれないといけません。それを評価するのは、頭の固い古い人たちだけです。柔軟な人はすでに違う評価をしています。

 

そして何より患者さんが求める理学療法士や作業療法士の姿こそが、私達が成長して向かっていくべき方向です。転職を繰り返すことが前提の職場に、就職後も「呪い」をかけ続ける職場に、自分の未来を預けることが向かうべきゴールにつながっていない事に気付いて下さい。

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